Case

AIX技術トレンドユースケース

クリニック業務向けロボにAI搭載し診療全体の自動化と効率化を実現

クリニック業務向けロボにAI搭載し診療全体の自動化と効率化を実現 カバー画像

某医療機関向けDXソリューション提供企業

課題

シナリオ限定型ロボットの機能的限界

日本において先進的な医療グループが運営する美容クリニックでは、増加し続ける患者対応と業務効率化を目的として、早期にルールベースの RPA(Robotic Process Automation)を導入していました。しかし、既存のルールベースのシナリオ型ロボットでは、以下の限界が顕在化していました。

1.シナリオ外の対応不可:事前に設計されたフロー以外の問い合わせや状況変化に対応できず、結局人間のオペレーターへのエスカレーションが頻発。

2.非構造化データの処理限界:患者が送信する自然文のメッセージ、画像、診察券写真などの非構造化データを理解・処理する能力がなく、自動化範囲が構造化された入力に限定。

3.メンテナンスの高コスト:業務フローのわずかな変更でもシナリオの改修が必要であり、維持運用コストが肥大化。

4.「部分最適」の壁:予約、問診、カルテ入力、会計通知といった各業務プロセスの間を繋ぐことができず、業務全体のエンドツーエンドの自動化が実現できていない。

これらの課題は、人件費削減効果の伸び悩みと、患者体験の質的向上を妨げる直接的な原因となっていました。

解決策

CoT 思考エンジンとエンドツーエンド自動化基盤

当社のAIX(AI Transformation) アプローチに基づき、ルールベースの RPA から、LLM(大規模言語モデル)を核とする AI エージェントアーキテクチャへのパラダイムシフトを実施しました。
1. AI エージェント・コア:CoT 思考エンジン
OpenAI GPT-4o をベースに、Chain of Thought(CoT)思考エンジンを独自に構築。AI エージェントは、受信した患者メッセージの意図を多段階推論により深く理解し、最適な応答・アクションプランをリアルタイムに計画・実行する能力を持ちます。

これにより、事前に用意されたシナリオに依存せず、未学習のケースや複雑な要求にも柔軟に対応できる「思考する自動化」を実現しました。
2. マルチモーダル入力処理
テキストメッセージだけでなく、患者が送信する画像(顔写真、受付票データ、診察券など)も Vision AI機能 により解析。非構造化データをリアルタイムで構造化情報に変換し、後続の業務プロセスに自動連携します。
3. 動的ワークフローオーケストレーション
予約受付 → 事前問診 → カルテ情報自動入力 → 会計通知 といった一連の診療業務プロセスを、AI エージェントが動的にオーケストレーション(統合管理・自動実行)。

各プロセス間のデータ連携を自動化し、従来は人間の介在が必要だった「つなぎ」の業務を完全に排除することで、エンドツーエンドの業務自動化を実現します。
4. クリニック基幹システム連携 API
既存のクリニック基幹システム(電子カルテ、予約管理 DB、会計システム)と API 連携し、AI エージェントがリアルタイムにデータの読み書きを実行。これにより、既存のシステム資産を最大限に活用しつつ、AI ドリブンの業務自動化基盤を構築しました。
5. ヒューマン・イン・ザ・ループ(HITL)エスカレーション機構
AI エージェントが自身の判断に「確信度が低い」と評価したケースのみ、リアルタイムで人間のスタッフに通知し、判断を委ねるエスカレーションフローを実装。これにより、AI の自律性と医療現場に不可欠な安全性・信頼性を高い水準で両立しています。

効果

診療関連業務の一気通貫自動化と患者満足度向上

・オペレーター業務量の大幅削減:AI エージェントによる自動対応範囲が飛躍的に拡大し、人間オペレーターの直接対応が必要な問い合わせが約 85% 削減されました。

・応答時間の劇的短縮:CoT 推論エンジンにより、患者からの問い合わせに対する最初の有効な応答時間が 数秒以内 に短縮されました。

・エンドツーエンド自動化率の実現:予約受付から会計通知まで、診療関連業務プロセスの約 95% がAI エージェントによりエンドツーエンドで自動実行されるようになりました。

・患者体験の質的向上:24時間365日の即時応答と、一貫性のある丁寧なコミュニケーションにより、患者満足度が向上し、リピート率の上昇にも寄与しています。